文語VS口語

学士会館にて「現代短歌の最前線」シリーズの第一回として「文語VS口語〜こだわりと美学の境界線」に、口語派として出演。
文語派は、小池光さんと水原紫苑さん、口語派のもう一人は斉藤斎藤さん。
最初は文語と口語の歴史的をなぞる内容からはじまり、なぜ文語、あるいは口語を選んだのか、というそれぞれの意志を中心に話はすすんだはずだが、歌人として根源的な問いへと発展し、なかなかスリリングな公開講座となりました。
口語といえば、と頭の中で浮かんだ人の下記の歌を、私は資料として持っていきました。


とけてから教えてあげるその髪に雪があったことずっとあったこと   
                    干場しおり『そんなかんじ』一九八九年
あとは死ぬばかりだったら凄(すご)いのに 僕らの声は高くて細い   
              早坂 類『風が吹く日にベランダにいる』一九九三年
柿の木にちっちゃな柿がすずなりで父さんわたしは不機嫌でした     
                 東 直子『春原さんのリコーダー』一九九六年
愛することが追いつめることになってゆくバスルームから星が見えるよ  
                   俵 万智『チョコレート革命』一九九七年
拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません      
                     笹井宏之『ひとさらい』二〇〇八年


最近の私の作品は文語口語がまじっていることも多く、そういう作品は上記の歌人の作品にも存在するのですが。
使ってはずかしいな、と思う文語とそうでもないものがあり、そのうちゆっくりと考えてみたいと思います。