ほしおさなえ著『恩寵』

ほしおさなえさんの最新作『恩寵』(角川書店)の推薦文を書かさせていただきました。

「毛細血管まで物語がしみこんでくる。ずっとこの世界にひたっていたい」

ふとした縁で古い一軒家に住むことになった若い女性によって、その家にまつわる数奇な物語がひもとかれていく。
ほしおさんは詩を書かれていたころに連句の会で知りあったのですが、小説の言葉もとても繊細で、物語は網の目のようにからまりあい、非常に巧緻なつくりで、ぞくぞくします。
ミステリー仕立てだけれど、やさしい感受性につつまれた、とても贅沢な小説です。
読み終えると、とてもしずかな気持ちになれる。おすすめです。