グライダーと鳥居

地元の街のはずれのレストランでランチをとってから、街でいちばん大きな公園に行ったら、芝生がすっかり隠れるぐらい人が集まっていてびっくり。
9割方が小さな子どもづれの親子。少子化なんて嘘みたい。
いつもはなにもない広場に、テントの出店やにわかアトラクションでにぎわっている。
その中に、手で飛ばせば、青空をすーい、と気持ちよく飛んでいってくれそうな、グライダーを貸してくれるブースがあった。と、飛ばしたい。
しかし、よい子たちが群がっている中、とうに大人になった私が割り込むなんて、できない。もう手元によい子はいないし。
中央通りに足をのばすと、仮の舞台の前に、人集りがして、お姉さんが、明るく語尾をのばしながらマイクでなにやら、よい子のみなさんに説明している。ヒーローショーのようなものがはじまるのかな。
こういう場所で立ち止まる期間もすっかり過ぎてしまったことよ。あの頃は、うんざりしながら、立っていたけど、二度とない時間だったと思えば、それなりになつかしい。

散歩で見つけた椎の巨木(天然記念物指定の看板あり)の前に、頭を下げなければ通れない鳥居があり、くぐってみる。鳥居の裏には、夫婦の名前と昭和四十五年、金婚式記念と掘られた赤い文字。
金婚式の記念に鳥居を建てたの?  そんなことができるの? 
現在は公園になっているけど、もとはこの夫婦の持っていた土地だったのかな。