砂子屋書房主催のパーティーへ。

寺山修司短歌賞『重力』真中朋久(青磁社)
葛原妙子賞  『幻想の重量〜葛原妙子の戦後短歌』川野里子(本阿弥書店


今回はどちらにも「重」の文字が入っています。
読みごたえのある2冊です。
とくに川野さんの評論集は、圧倒されます。
黒いシックなドレスの川野さんの、デコルテのうつくしさに見ほれました。
真中さんは、一週間前まで冬山にこもっていたような野生の気配がありました。


真中さんへの祝辞を頼まれ一言壇上でお祝い申し上げました。
押さえた表現の底から滲み出ている疲れがよい味わいになっている歌集だと思います。

『重力』より
眠りたるままに着きたる地下鉄を魚のやうな眼でみまはしぬ            
腹中は泡立つごとし硝子屑の驟雨を抜けて身を拭いつつ             
闇のなかに泡だつみづの音するなりのぼり来ていまだ耳をはなれず
夜の雨に戻り来し猫は妻の手を舐めてそのまま上がりゆきたり
我慢できる我慢できるなどと言ひながら熱き湯のなかにをりたりしばし
眠らずに朝を迎へしひととゐていちにちが過ぎてゆくのが遅い
子どもたちは封印を解きに来たのだと気づきぬ風のあらき月夜に
あきらめぬとわれの目をまつすぐに見て言ふひとよわれは怯まぬ


二次会にも参加して帰宅。


プラットフォームで待っているときに、向いとこちらにほぼ同時に地下鉄が入ってきたのですが、アナウンスが男性と女性で声が使い分けられていることに気付きました。声がまじらないようにする工夫?