「かりん」所属の浦河奈々さんの第一歌集『マトリョーシカ』の批評会@中野サンプラザに参加しました。

坂井修一さんの司会のもと、穂村弘さん、奥田亡羊さん、尾崎朗子さんとともにパネリストとして意見を述べました。

世界に対する不安感が伝わる歌集ながら、素材の豊かさ、切り口の新鮮さ、文体の力などが特徴としてあげられていました。私は、歌を作るために自己像を探るための言葉選びがなされている点に注目しました。

シャンパーニュの泡をみてをり何もせず消えてゆくこと怖いだらうか    浦河奈々
・明日の米研ぎをるわれの指は今、田んぼのどぢやうのやうに生きをり      〃     
・四十のわがうちに不安な少女いて安全な夫(をつと)にはりつき眠る       〃
・いつもいつもおなじ質問するひとを掌(て)に享けるやうに応へるあなた      〃
・冬の庭に仲間が来るのを待つてゐる小鳥のやうなあなたを愛す         〃
・昨日われは「毒」と掲げるトラックに体当たりして滅びたかつた        〃


この歌集は、今年度の現代短歌新人賞受賞作品です。


この子たちは、うちのトイレに棲んでいる、ロシアから連れてこられた子たちです。