流浪の日傘

今日は朝から台風一過の炎天。

某雑誌の取材を受けるため、銀座の出版社へ。
炎天のため黒い日傘をさして駅へ。

出版社についたとたん、汗が流れ出し、止まらない。
写真撮影の前にそちらでどうぞ汗を流して下さいと、トイレを案内される。
タオルハンカチで汗を拭き、お化粧を少し直して、しかし、まだじわじわ流れる汗を感じつつ、撮影。

撮影を終えて部屋を出たところで、お掃除の女性から、今、トイレに傘が、と呼び止められ、はっとする。
あ、わたしのです、と告白して、取りもどす。
よかったです、と女性に言われ、頭を下げる。

その後、会議室にて取材を受ける。
取材後、書籍担当のSさんと打ち合わせのため合流。
会議室を出たところで、ライターさんに、あ、傘、と呼び止められる。
ああ、さっきもトイレで忘れたんですよね、と言って笑って受け取る。気がついてよかったです、とライターさんに言われる。

Sさんと近くの喫茶店でお茶を飲んだあと再び出版社にもどったところで、喫茶店に日傘を忘れたことに気づいて、あ、と声を出す。
そして、このひと、一日に三回も傘を忘れたんですよ、と、Sさんに、初めて会うひとに紹介されてしまう。
もし、こんど会った時に、この方がわたしの事を忘れていたら、ほら、あの時、一日に三回も傘を忘れた、あの、と、食い下がってみようと思う。

帰りにくだんの喫茶店に寄ったら、カウンターに大事に保管されていて、お店の方に「よかった〜」と祝福され、無事、我が家に連れて帰りました。

一日に三度もよかった、と言われて、しあわせな子だと、あくまでも前向きな気持ちで一日を閉じたいと思うのでした。

アシタ、ハ、ワタシヲ、ワスレナイデ、クダサイ(日傘んの声)。