そこでわたしは手紙を

今日は、玄関のベルが3回鳴りました。
速達ひとつ、宅急便2つ。
ゲラ2種類と、選歌の束。
う¨。


それぞれ落ち着きなくめくりながら、ここは落ち着いて、何を先にはじめればよいか、考えてなくては、と、ぜんぜん落ち着けないまま時が過ぎ。

そして気がついたら、いつか書こう、いつか書こうと思っていた手紙を書いていました。
住所を調べるために年鑑を取りだしたら、年鑑を熱心に読み始めてしまう。
少し時間がたった方が、おもしろく読めるものなのでした。
2005年は、やっぱり塚本邦雄さんがカラーグラビアですよね。と、なつかしくながめてしまう。塚本さんの手書き文字のうつくしさにほれぼれしているうちに、2006年も半分近くが過ぎようとしていることに気づいてしまう。今、2006年のまんなかあたりに座っているのね。


年鑑の中で内藤明さんが「どこかぶっちぎれたところから一首に入り、謎を秘めた、口語のとぼけたような表現でつつみこむことによって、危うい感じに読者を誘う」としてふれてくださった歌。


・もしわたし死にそうなとき持ってきてこの世でいちばん黄色いものを  東直子
・しわしわのみかんを笑いながら剥くどうにもならぬしわしわだから    〃 
        

 一年半くらいまえにつくったのかなあ。もうそのときの自分にはもどれないし、よくわからなくなっているけれど、たしかにそう思った気がする。だれにむけてともなく。
 そしてそして、一年半前には、ここに生きている人がみんなみんな一年半前を生きていたんだ、と思ったりもしたのでした。
 みんなみんな一年半前とは、すこし、ちがうひと。


つづく(手紙)。


短歌日記