八穀米、粕汁、まぐろの中落ち
ぷらむ短歌会。
今回は、『永井陽子全歌集』(青幻舎)刊行を記念して、永井陽子さんの歌をとりあげました。
・触れられて哀しむように鳴る音叉 風が明るいこの秋の野に
・生きているどのことよりも明々といま胸にある海までの距離
・ゆふぐれに櫛をひろへりゆふぐれの櫛はわたしにひろはれしのみ
・ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり
・死にたくてならぬひと日が暮れてのち手に掬う飴色の金魚を
・くつしたの形てぶくろの形みな洗われてなほ人間くさし
ものすごく好きな歌ばかりです。
実生活から切り離された、こころや生のしんじつにせまる、旋律のうつくしい歌の数々。
病弱だった永井さんは、5年前に48歳の若さで亡くなられました。
全歌集は、6000円もしますが、藤原龍一郎さんによる解題や、年譜、歌の索引もあり、これは買っておいて損はない一冊だと思います。
発行にあたって裏方をつとめられたであろう、永井さんが所属されていた「短歌人」の方々の、愛を感じました。
ちなみに今月のぷらむ短歌会のお題は「門」。「校門」と「鬼門」が人気でした。