晴れ
南武線の稲田堤から京王稲田堤へと乗り換えるとき、アクセサリーを売っている白人青年がいる。なぜ、イナダヅツミでわざわざと思い、のぞきこんで、一目ぼれしてしまった、ラピスラズリのネックレス。
ボク、ツクッタ、テヅクリネ。ラピスラズリ、カワイイ。
と、深い目で笑顔をつくり、首にかけてくれた。
じゃあ、いただきます、と言うと、犬の絵の描いたポチ袋に入れてくれた。コレ、カワイイ、と、ポチ袋にも自信があるらしい。
お金を払うとき、どこの国からいらしたんですか?と訊くと、ボク? イタリアと答えてくれた。
イタリアかー。売ってるものは、基本的に「コレ、インドノオマモリネ」みたいなものばかりだったけど。
イタリア人なので、わたしのなかで、彼のことをロミオ、と名付ける。ロミオのネックレスは、首にかけると、ときどき痛くなる胸の上にくる。ときどきこれに触れて、ロミオのラプスラズリ、と、となえながら、だいじょうぶ、と、自分で自分に言うのでした。
夜、リンが借りてきた「コール」という映画を、一緒に観る。携帯電話を使った3ヶ所同時中継の誘拐サスペンス。観ている間はおもしろかったけど、人物設定がそれぞれ浅い印象かな。
途中一回止まったときがあり、リンが、ツタヤめ、と言いながら布で拭いたら、ちゃんと観えました。そうか、よごれがあると、エラーを起こすのね。(常識か)
・「安心、安心、だいじょぶ」と陸に沁みゆく声をもつひと 東 直子