『ガウディの月』批評会

higashinaoko2004-06-19

 大塚寅彦著『ガウディの月』(短歌研究社)批評会。池袋の芸術劇場にて。
 
 パネリスト=藤原龍一郎 梅内美華子 古谷智子 菊池裕 黒瀬珂瀾(司会) 

 印象に残ったことばをご報告。

・郎慢性が現代らしいすべすべした感じとともにある。春日井さんが、胸を押さえながら笑った。王子様じゃない大塚さん(梅内

・作者自信の潜在意識としての女性がもうひとりの自分を投影。ガウディは未完の音階装置(菊池)
俵万智の『サラダ記念日』以前の歌集であること。純粋な韻文へのこころざし。抽象的寂寥感。もののあわれ。(藤原)
・生活感の欠如。デラシネ的感覚。滅びの美学。軽いユーモア=言葉遊び。孤独の相対化(古谷)
・今ある自分を見つめることから人間とは何であるのかを問う。人間存在を知ることが祈りになっていく(村木道彦)
・比喩が有効。現代短歌の双方の力(奥村晃作
・都市詠としての感触がない。音声を消した映像のようだ。人間は部分しか出てこない。濁りがない。(小高賢
・少女性が自分自身の女性性を傷つけない。読者との共有感覚の広がり(大滝和子)


 私は、あるがままの淋しさとやさしい痛みを徹底した無力の中で描いている世界観が好きでした。



・炙(や)かれゐる魚の白眼うるみつつ哀れむごとしわが独りの餉   大塚寅彦



短歌日記