中沢直人さんの歌集『極圏の光』批評会のために日本出版記念会館へ。
暑さの中をのぼる神楽坂。みんなひとしく汗をかいて集合。
昼食打ち合わせののち、13時半〜批評会。
八〇名余りの出席者の前にて、田中槐さん司会のもと、山田富士郎さん、光森裕樹さん、岡崎裕美子さんとともにパネルディスカッション。


「エリートは晩秋の季語 合理人の孤独を映す水面静けし」という歌があるため、「エリート」という言葉が目立ってしまっていましたが、言葉の比喩の問題など、現代短歌そのものに対する問いへと発展した、実りある会だったと思います。
一人で考えていたときには漠然としていたものが大分クリアになった気がします。
私は、中沢さんの持ち味は、高い理想を矜持とするゆえの苛立ちと孤独や無力感にあるのではないかと思います。


・お互いに仕事が大事 面倒な豆腐ぬぷりぬぷり崩れてゆきぬ         中沢直人
・九条は好きださりながら降りだせばあそれぞれの傘ひらく寂しさ        〃
・ポストなき空席に立つさびしいと言えなくなった人に囲まれ          〃
・トランクスに溜まる空気のぬるさかな熱を運ぶように橋を渡りぬ        〃
・話し足りないように降る三月の雪に離陸をはばまれており           〃
孤独死も恥ずかしくない幸せな魚一匹皿に盛られて              〃
・おまえしかいないと思ういつも青で待っていてくれる駒場の信号        〃



二次会は「野菜市場」へ。
野菜料理がおいしかったです。