麻婆茄子とかぼちゃの煮付。
ぷらむ短歌会。今日のお題は「円」。作品紹介は、佐藤通雅氏。主に最新歌集『往還』より。一貫して、誠実で熱い思いの生き生きと伝わってくる作品なのである。
『水の涯』より
休日の鉄棒に来て少年が尻上がりに世界へ入つて行けり 佐藤通雅
『美童』より
わが帰るを待ちゐし白き封筒は手負ひの翼のごとくありたり 〃
朝を出て夕に帰るみちのくは地の器ともまがふまで闇 〃
『往還』より
目の前にパンと牛乳おきやればぼろぼろ泣いてぼろぼろと食ふ 〃
電撃的結婚宣言全宇宙独り占めしたやうだつたつけ リエ 〃
髪赤き女生徒四人が帰り行くふわわ海底漂ふやうに 〃
人間の尻の重みにたぢろがぬ便器しみじみ尊敬したり 〃
摂食を病む女生徒が階段にて透明すぎる笑み返したり 〃
鉛筆の芯をなめなめ算数をしてゐたころの風の匂ひだ 〃
心病み退学きし生徒が日照り雨ほどの手紙を書いてよこしたり 〃
エレベーター切れて歩行に移らむと人類発生の日の姿形せり 〃