くもり

 NHK学園へ。

 
 帰りがけ、気づくと、きいたことのない駅。乗り過ごしたらしい。あわてて降りて、反対にうつり、電車に乗り直してひきかえす。しかし、目的の駅の一駅前でいったん降りてしまい、またあわてて乗り直す。
 南武線の駅はどこもよく似ていて、駅名も長いホームのほんの一部にしか書いておらず、しかも今日は窓にひざしよけが深く降りていたため、ほとんど外が見えなくて駅名を確認するのに苦労したのである。アナウンスも聞こえにくいし。(言い訳)


 乗り過ごした駅の階段を昇り降りしながら、うっかり乗り過ごした駅から自分の駅へ、どうしても戻れなくなってしまった人の話を思いつく。もどってももどっても、覚えのある駅にたどりつかない。しかたなく、ふしぎな生活習慣のある見知らぬ町でくらすことになる。電車版「砂の女」ふうに。


・ときにあなた、砂とは美しいものね さくりさくりと沈んでゆきぬ     東直子