■
地元にて家族と「のぼうの城」鑑賞。
とてもおもしろかったです。
支城が本城よりもねばっていたという、歴史の本流からすると取りに足らない事実で、ようするに「がんばった」ことだけが残る応戦だったのだけど、どんな場所のどんな時間にも人の思いが流れているということが感じられる、沁みる実話だと思う。
ただ立ってるだけでただものではない光を帯びる野村萬斎のたたずまいがすばらしかった。
午後、鳥の写真を撮る人に付き合う。
日向に座っていると、一匹の赤とんぼが何度も身体に止まる。
赤とんぼは、生きている間にだんだん身体が赤くなるという。
その赤とんぼは真っ赤だった。
人なつこいというより、死期が近づいていて疲れている、らしい。
あたたかい陽のさすベンチが俺の場所だ、とでもいうように、私たちが去ったら、すぐにベンチに止まったまま、動こうとしなかったです。
夕暮れ、平山城址公園へ。
誰もいないつめたい公園で細長い椎の実らしき実を拾う。
水に入れて、沈めば椎の実。浮いたら別の細長いどんぐり。
仕分けた物をフライパンで煎って、ほんのり甘い野趣の味を堪能しました。
■
午前中、金原ひとみさんの新作短編『マリアージュ・マリアージュ』の書評まとめ(「文學界」13年1月号掲載予定)
ゲラで読んだのですが、さすが金原さん、とても読みごたえがあります。今月末刊行かな?
午後、神谷町へ。
ふらんす堂主宰の、吟行記録記のための吟行会3回目。
今回の参加者は、いつもの穂村弘さんと私に、ゲストは「マームとジプシー」の演出家、藤田貴大さん。
NHK放送博物館から東京タワーをめぐり、5首作成。
うち1首は、題詠「閉塞成冬」。
はじめて短歌をつくられた藤田さんの短歌作品がとてもすばらしくて。
本になるのがいよいよ楽しみ。
放送記念館では、戦前からの公共放送の歴史をざっと見わたせるのだが、自分がいつからこの世に存在していたのかを自分が見てきたものと重ね合わせずにはいられない。
東京タワーに上ったのは15年ぶりくらいか。
洗練されたところとよりディープになったところがあり。
15年たったらまたのぼるかな。
快晴
今日は病院の前後に「いつか来た道」と「言丿葉丿箱」と短歌研究の十首とエッセイ、そして「かばん」の新年号の作品まとめ。よく仕事ができた日であった。できないとまずかったのである。
いつもの検診でまたついでに胃薬をもらう。
胃の調子は、よくないことが多いので一度ピロリ菌検査をしてもらうことに。
しかし「胃カメラ検査をして胃潰瘍、十二指腸潰瘍の所見が出ないと私費で」ということで、私費で受ける。
胃カメラは辛い。肩への筋肉注射もおそろしく痛かった。鼻からのものは、鼻の穴が小さいらしくて鼻血がどどっと出たし。あれから技術はすすんでいるのかしら。
胃カメラ拒否しているので、その先ピロリ菌治療となってもずっと私費になるらしい。
血液検査もそのあとも、病気には違いないのだから保険適用してほしいもの。
そんなことを考えていたら余計に胃が痛くなってきた。
こんなときはかわいいものやきれいなものを見るとよろしい。
お友達にもらったトルコのまわるおじさんのお皿。
色がきれいでちょっとおとぼけな感じが和む。
サラダを入れたり焼きそばをこんもり盛ったりしています。
曇りのち小雨のち晴れ
朝10時に表参道にて打ち合わせ。11月の表参道は、街も人も朝からたいへんおしゃれ。
打ち合わせしたのは、来年のこと。いろいろ楽しみ。
もう鬼も笑うまい。
昼、毒婦会。
沖縄料理。
最初場所がわからず現場近くをプリントアウトした地図を持ってぐるぐる歩いていると、女子会の方ですか、と声をかけられる。いえいえ毒婦会で、と心の中で思い、いいえ、と否定してまたぐるぐるしたけれど、どうやらその女子会の人と同じ場所だったようで、素直にうなずいて誘われれば早かったか。
なんとか辿り着き、迷い遅れている人に電話で道案内をする。
白い薔薇があって、白い薔薇といっても……にせものの薔薇で、と説明していると、Wさんがしずかに「白いモチーフ……」とよりわかりやすい言いかたを示唆してくれました。
昨日、カボ子が作ってくれた『キオスクのキリオ』の広告版下。
キリオさんをよろしくお願いいたします。